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16番 トキ900を作る!

 ワールド工芸駆け出しの新人Mです。
 本日は発売が遅れております16番の戦時型3軸貨車、トキ900の試作レポートです。実車についての解説はウィキペディアに詳しいですが、模型としての設計課題は3軸構造の下回りと、木製車体の表現方法です。2軸車両の課題は通過曲線半径とポイント通過などでのレールへの追従性です。さらにこれが3軸となると中間車軸の構造をうまく考えないと曲線通過どころか脱線ばかりする車両になりかねません。実はワールド工芸の16番2軸貨車では、過去に片方の台車を可動式にすることで問題を回避できております。今回はさらに中間台車の支持方法を工夫することによって550Rでの通過ができるようになりました。
 車体での問題は木目板とリベット付きのリブの表現でしょう。細いリブをひとつひとつ木目板に半田付けするのは位置決めを含め、とても難しいものです。今回はランナーの構成と半田穴によって少しでも簡単に作業できるよう、工夫してみましたので紹介します。

足回りの組立

 まずは足回りから組み立てましょう。出来上がりの複雑さとは裏腹に順番さえ気をつければ確実に組める設計になっています。かなり楽しめると思いますよ。
 ワールド工芸のキットはほとんどがこういう真鍮エッチング板から構成されています。ただ真鍮素材は思ったより柔らかいので、強度が必要なパーツは洋白や燐青銅といった素材でできています。
 たとえばこんなパーツ。台車の「担いばね」と呼ばれる部分で、板状のばねが何十にも束ねられたパーツは、通常はドロップとかロストワックスと呼ばれる方法で作られる場合が多いのですが、ワールド工芸の場合は一枚のパーツをこのようにつづら折にして組み立てるようになっています。最大のメリットは「シャープな表現」に尽きます。
 組みあがった台車です。軸受けはロストワックス製ですが、あとはエッチング板のみ。シャープな表現ですよね。
 別体のブレーキシュー部品も折り曲げるだけでこんな感じに仕上がります。ブレーキのテコも表現されています。実物のお勉強にもなる感じ。
 床板に各パーツを取り付けていきます。穴位置も的確ですからパーツもバチバチとはまって、あとは半田を流すだけです。
 ブレーキシリンダやフットブレーキも付いて、リアルな感じになってきました。組みあがったパーツを眺めながら晩酌、なんてのも楽しいですよね。モデラーの醍醐味です。

 燐青銅製のアオリ戸受け、ロストワックス製エアホースも取り付けて、足回り完成です。ゆっくりやっても一日あればここまでイケます。問題の中間台車は軸端を削り取った車軸を使い、写真のように取り付けることで走行性を確保しています。

上回りの組立

 実は半田付けの技量が問われるのは上回りのほうなんです。無蓋貨車はハコモノと違って半田のミスが目立ちやすいですし、細かい木目板の継ぎ目表現に半田が流れてしまうとその除去はかなり難しく、少量の半田で確実に半田付けする必要があります。ポイントとしては
  1. コテ先はフラックスに侵されてデコボコになります。作業前には必ずグラインダーや大きめの平ヤスリで綺麗に整形してエッジを保つこと。
  2. ワールド工芸のキットは薄板で構成されるので大容量(80W以上)の半田こては必要ありません。かえって熱量が多すぎて、作業中に熱が回って先に付けた他のパーツが取れてしまったり、厄介なことが多いです。50〜60Wくらいが最適です。
  3. コテ先の加熱しすぎも良くないので、できれば温度調節器を使って温度管理をしましょう。
  4. フラックスの使用は必須です。電気配線用のヤニ入り半田は適していません。フラックスの塗布は爪楊枝が便利です。綿棒だとつけすぎになってしまいます。
 まずは妻板から加工していきます。リベット板は写真のようにランナーごとセットして、位置が決まったら一部を少量の半田で「チョン付け」します。様子を見て、曲がったりしないかを確認したら、各リブに半田を極く少量流して固定していきます。
 手すりやフック、カプラー開放テコ等の部品を取り付けていきます。「半田は少量、かつ確実に」がポイントです。一部のパーツの取り付けには瞬間接着剤も併用しています。
 うっかり半田を流しすぎたとしても、こんなに込み入った部分だとキサゲや刃物が入りません。こんなときに大活躍するのがマッハ模型さんのキサゲ刷毛。便利、どころか必須アイテムだと思います。半田に埋もれてしまったディティールの掘り出しなんかにも威力を発揮します。
 各パーツを何故確実に付けないといけないかというと、このように裏面を平らに仕上げる必要があるからです。半田付けがちゃんとできていないと、この時点でポロっと取れてしまいます。
 両面を仕上げたら折り曲げて箱にします。
 次に側板にかかります。こちらもリベット板を位置決めして、リブをひとつひとつ半田付けしていきます。側板は小さな半田穴がたくさん開いています。裏側からこの穴に半田を流してゆけばオーケー。ただしリブをしっかり押さえておかないと毛細管現象によって半田が表側に流れてきてしまいます。しっかり押さえて少量の半田を流す、という単純ですが気を使う作業が続きます。忍耐。
 手すりも付けて側板完成。結構肩凝ります。ちなみに反対側も同じです。この側板も裏側をヤスって平らに仕上げます。
 側板には裏板をぴったり張り合わせ、最終的に箱に組み上げます。ゴールが見えてきました(笑)

完成。手前味噌ですが、カッコいいです。車輪はエンドウさんのピボットスポーク、カプラーはIMONさんのHO-101タイプ、インレタはくろま屋さんのものを別途お求めくださいね。

写真奥は「側板撤去タイプ」。「撤去タイプ」とは便宜上のネーミングですが、実際は欠陥構造ゆえ荷役作業中に脱落してしまった、つまり「取れちゃった」というのが実情のようです。台枠がまっぷたつに折れてしまった事故もあったそうで、すべて戦時設計ゆえの脆弱な貨車だったそうです。
モデルのほうは、現在誠意製作中です。ネットからも予約できますのでぜひどうぞ。