「極める」16番EF18
旅客用直流電気機関車EF58として完成目前だった32、33、34号機の3両が、ドッジラインの影響で、歯車比を変更して貨物用に設計変更され1951年に就役した、という珍しい生い立ちを持つEF18。通常ならば1、2、3号機となるところ、EF58の通番の32、33、34号機のままとされたのも特異なところ。たった3両しか存在しなかったEF18ですが、実は細部ディティールに個体差や時代による変化があります。このたびご好評につき再生産されるワールド工芸16番EF18は、そのあたりも余すところなく再現。今回の製品トピックスにてご紹介いたしましょう。
就役当時のディティール
就役当時のEF18クローズアップ写真です。ヘッドライトは旧型のLP42、直後には旧型の箱形避雷器、そしてワイパーも窓の両脇下隅に取り付けられていました。
当初片側のみに設置されていた電暖用ジャンパ栓がパーツによって再現されています(左矢印)。テールライトも引っ掛け形。また、他社製製品ではなかなか再現されないデッキ下の形状も正しく表現されています(右矢印)。
32、33、34号機は就役当時から細かい個体差が存在します。
運転席側窓のひさしの形状
(左:32,33号機、右:34号機)
主台車枠穴の形状
(左:32,33号機、右:34号機)
先台車は板バネとコイルバネが存在しました。
(上:板バネ33,34号機、下:コイルバネ32号機)
晩年のディティール
1951年に就役し、1979年に3両すべてが全廃となったEF18ですが、ワールド工芸ではもちろん、晩年の姿も再現しています。ヘッドライトの大型化や避雷器のLA15化、電暖用ジャンパ栓の廃止等が共通の変更点となっています。晩年の32号機。ヘッドライトは大型化され、テールライトは埋め込み式に、ワイパーの取り付け位置も変更されています。テールライトの埋め込み化は意外と早く、1964年に実施されています。
ワールド工芸のキットではカバー付きLA15避雷器、信号炎管装備の1975年ころの姿を再現できます。またパンタグラフのシューもこの頃に軽量タイプのものに換装されています。
最晩年の33,34号機はHゴム窓に改造されましたが、この32号機のみは原型窓のまま廃車されました。
32号機のみ、避雷器はパンタグラフの後方に設置されています。避雷器自体も新型のカバー付きLA15となっています。また、32号機のヘッドライトの台座は短いタイプとなっています。
33号機の晩年の姿。ワイパーは32号機と同様ですが、ヘッドライトの台座は2本脚の長いタイプ、避雷器はカバー無しのLA15がヘッドライトの直後に、またテールライトは就役当時の引っ掛け形のままとなっています。さらに側面のエアフィルターも換装されています。
ワールド工芸のキットではカバー無しLA15避雷器、信号炎管装備の1975年ころの姿を再現できます。またパンタグラフのシューもこの頃に軽量タイプのものに換装されています。
なお、33号機は1977年にはHゴム窓に改造されました。
33号機のみ、近代電機のようなビニロックフィルターに換装されました。
(上:標準フィルター、下:ビニロックフィルター)
同様に34号機の晩年の姿。ヘッドライトは大型で、台座は33号機と同様の2本脚タイプ。テールライトは埋め込み式となりましたが、34号機のみワイパーの取り付け位置が違います。また、避雷器はヘッドライトの直後ですが、カバー付きのLA15となっています。テールライトの埋め込み化は意外と早く、1961年に実施されています。
ワールド工芸のキットではカバー付きLA15避雷器、信号炎管装備の1975年ころの姿を再現できます。またパンタグラフのシューもこの頃に軽量タイプのものに換装されています。
なお、34号機は1976年末にはHゴム窓に改造されました。
ワールド工芸のEF18組立キット
ワールド工芸の16番EF18組立キットは様々なバリエーションを取り揃えて、各種タイプの作り分けが可能となっております。- 就役当時の姿を再現するキット
- 晩年の姿を再現するキット