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16番 国鉄 トラ30000を作る

プロローグ

 模型化にあたり、実はなかなか厄介なのが無蓋貨車です。パッと見には上回りは「ハコだけ」だし、複雑な部品があるでもなし、いちばんカンタンなのは無蓋車だろう、なんて大雑把に思いがちです。ところがあけすけな無蓋車、ちゃんと作ろうとすると凄く大変なんです。
 なんと言ってもちゃんと表現しなくちゃいけないのは木製のアオリ戸。実物は木製の板材を金属製の帯でまとめ、リベットで留めてあります。これを模型化するとなると、実はこれだけモールドがあると基本的にはエッチングでは一発で仕上げられません。なのでスジ入りの板にリベットを表現した帯板を重ねてハンダ付けしていかなければなりません。これだけの薄板(リベット板の厚さは約150ミクロン)ですと熱を加えると伸びたり歪んだりしやすくなるし、スジ彫にちょっとでもハンダが流れてしまうと、マッハさんのキサゲ刷毛でもほじくるのは難しい。結果的に細心の注意を払った位置決め、的確で少量で済ますという、高度なはんだ付けの技術が求められることになるのです。
 だからどうしても、無蓋車の模型はプラスティックやロストワックス、ホワイトメタルといった整形品ばかりになってしまうわけ。プラスティックだと分厚くなりがちだし、ロストやホワイトメタルだと歪んでしまう。あの、実物の繊細な、薄いアオリ戸を表現するには、やはり板材のほうがいい。これをなんとかカンタンに組めないか、いろいろ試行錯誤してきたんですが、ようやくなんとかなりそうになったので16番トラ30000キット、ついに発売のはこびとなったわけです。
 ちなみに組立には必ず40W以下のこてを使用してください。100W使うと一発で伸びたり歪んだりします。40Wのこてならホームセンターで数千円で買えます。

組立開始

01_02 側板、つまりアオリ戸はこんな感じにセットしてあります。焦ってパーツを切り離さないでくださいね。「ランナーごと」折り畳むことによって正確な位置決めとリベット帯の歪み防止を両立させる構造なのです。コロンブスの卵。
01_03 まずはリベット帯部分をランナーごとペタリと折りたたみます。するとこんな具合に。
01_04 裏返すとリベット帯板の裏側にはんだを流すための穴が空いています。ここへひとつずつ少量のはんだを流してゆきます。ただし密着が悪いとはんだは表側にどんどん流れ出して行ってしまいます。最新の注意をもってはんだ付け。
01_05 パッと見にははんだが流れているように見えて、実は裏側リベット帯まで達していない、つまりはんだ付けできていないことがあります。確認しながら作業していきます。
01_06 リベット帯のはんだ付け終了。一枚目のランナーを取り去ったところです。やはりどうしても表側にはんだがはみ出すことがあります。キサゲ刷毛の出番となります。さらに票差し類も取り付けたら、裏面はヤスリ等で平滑に仕上げておきます。
01_07 アオリ戸裏面もランナーごとペタリと折りたたみます。
01_09 これだけ組み立てても、アオリ戸はどうしても歪みがちです。はんだシロはありませんので板厚部分に少量のはんだを流して表裏を張り合わせます。
01_10 断面をサンドペーパーで仕上げています。
01_10 アオリ戸完成。
01_10 妻板も張り合わせ式です。
01_10
車体完成。アオリ戸の厚さは0.6mm。80倍すると48mmです。 01_10
これだけアップしてみるとアオリ戸やリベット板の薄さがよくわかりますね。
16番 国鉄 トラ30000形 無蓋車 組立キット 13,200円 (税込)

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